音源再生テストで南沢さんの歌っているのは,モーツァルト作曲のオペラ,フィガロの結婚の中の第三幕の伯爵のアリアですね。
 場面をかいつまんで紹介します。
 この伯爵,素敵な奥様がいるというのに,若き乙女スザンナにゾッコンです。その上,奥様と結婚する時に自らが奥様への愛の誓いとして廃止した初夜権の復活をたくらんでいるという,極めて悪いやつです。
 スザンナとフィガロは相思相愛の関係にあるのですが,フィガロはマルチェリーナという女性からお金を借りています。そしてマルチェリーナは,フィガロがお金を返せない時は,フィガロと結婚する権利をマルチェリーナが得ることを求める裁判を起こしています。
 ところが,フィガロはスザンナと結婚したいのに,お金を返せなければマルチェリーナと結婚しなければなりません。そうなればスザンナは恋人がいなくなります。悪い伯爵のねらいはそれニャンです。
 ところがフィガロは,伯爵の奥様にお金を借りて,マルチェリーナに借金を返済できる目途が立ちます。それを受けてスザンナが,
「訴訟に勝った!!」
と喜びます。それを伯爵が聞いてしまった後の歌を,南沢さんが歌っているというわけです。めちゃくちゃ簡略化すると,
「訴訟に勝っただとぉ?そんなことはわしが許さん!判決を下すのはこの私だ!主人の力を思い知らせてやる!スザンナは何としてもものにするぞ!」
みたいな感じです。
 もう少しだけ付け加えますと,曲の中には,伯爵の,フィガロとスザンナが結ばれてしまう想像と,それが現実になってしまいそうな焦りやイラ立ち,恐れや屈辱が表現されています。
 そして最後は伯爵の開き直りと精一杯の強がり?みたいな。
 南沢さんの塩センベイみたいなしょっぱい歌声が,伯爵の雰囲気に合っているかもしれないニャァと勝手に思っているドラネコでした。