○この場面を聴く!!
〔背景紹介〕
 リゴレットから侯爵を暗殺するよう依頼された,プロの殺し屋スパラフチーレには,マッダレーナという妹がいました。
 ところがこのマッダレーナ,侯爵に言い寄られて,侯爵のことを「自分にとっての大切なお方」と思うようになっていました。
 マッダレーナは,兄スパラフチーレがリゴレットから侯爵の暗殺を請け負ったことを知り,兄に侯爵の暗殺を思いとどまるよう懇願します。そして今日のお薦め名場面とあいなります。
〔場面解説〕
 ものすごい嵐の夜です。スパラフチーレはプロの殺し屋ですが,ミンチョ川のほとりで,妹のマッダレーナと二人,居酒屋を経営しています。
 リゴレット最愛の娘,ジルダは,居酒屋の門の外から,居酒屋の中のスパラフチーレとマッダレーナの会話を注意深く聴いていました。もうこの時には,ジルダは父親のリゴレットが,侯爵の暗殺をスパラフチーレに依頼したことを知っていたのですね。
 それまでの場面の中で,さんざっぱら侯爵のふしだらぶりを見せつけられていたジルダですが,この場に及んでもなお,侯爵のことをあきらめられません。ですから侯爵の暗殺は何としても阻止したいと考えています。
 そんなジルダの耳に,マッダレーナがスパラフチーレに侯爵の暗殺を思いとどまるよう懇願し,スパラフチーレが苦肉の策を提示する会話が飛び込んできたのです。
スパラフチーレ
「俺はプロの殺し屋だから,請け負った仕事はきちんとやり遂げなければならない。でも今回はかわいい妹のたっての願い故に,偽装殺人をして,侯爵を暗殺したことにしよう。誰を殺すか。これからこの居酒屋を最初に訪れた者を殺してしまおう。」
 さてさて今日の音源ですが,スパラフチーレの偽装殺人の方針を聴いてしまったジルダが,とっさに〈自分が侯爵の身代わりになろう〉と決意し,居酒屋に飛び込んでいくところから始まります。
 今回の手作りのオペラコンサートでは,どうしても配役が足りないため,東京芸大2年生の輝美さんが,マッダレーナとスパラフチーレの二役を同時に演じ,ものすごい迫力でジルダを暗殺します。
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